統計学

【統計検定準1級】2017年6月 選択問題及び部分記述問題 問12【解答例・解説】

この問題のテーマ・前提知識

  • テーマ: ブートストラップ法・パーセンタイル法による信頼区間の構成
  • 前提知識: ブートストラップ標本の定義と復元抽出 / 経験分布による信頼区間(パーセンタイル法)/ 累積度数グラフの読み方

 

 

問題の概要

2つの小問からなる。[1] 元の標本から復元抽出した10個のブートストラップ標本平均の値が表で与えられており、元標本の平均よりも小さい値になる確率を求める。[2] 1000個のブートストラップ標本平均の累積度数ヒストグラムが与えられており、パーセンタイル法で90%信頼区間を求める。

 

 

解説

解法の方針:[1] 表から \(\overline{X^*}\) の値を読み取り、元標本の平均 \(\overline{X} = 6.2\) より小さい個数を数えて確率を求める。[2] 1000個のデータに対してパーセンタイル法を適用し、下側5%点(50番目)と上側5%点(950番目)が属する階級をグラフから読み取る。

[1]

\(\overline{X^*}\) の値を確認する。

表の一番右の列に、10回の繰り返しによって得られた各ブートストラップ標本の平均値 \(\overline{X^*}\) が記載されている。

具体的な値は以下の 10 個である。

5.1, 6.5, 6.8, 5.2, 8.2, 7.5, 9.9, 6.6, 6.0, 5.3

次に、条件を満たす個数を数える。

この中で、\(\overline{X} = 6.2\) よりも小さい値をピックアップする。

該当するのは以下の 4 個である。

5.1, 5.2, 6.0, 5.3

最後に、確率を計算する。

全 10 個のうち 4 個が条件を満たすため、求める確率は以下のようになる。

\[P(\overline{X^*} < 6.2) = \frac{4}{10} = 0.40\]

従って、正解は ② である。

[2]

ブートストラップ法により信頼区間を構成する一般的な方法として、パーセンタイル法を用いる。これは、得られた推定量(ここでは \(\overline{X^*}\))を小さい順に並べ、両端から指定された割合だけ切り捨てる方法である。

  1. パーセンタイル(分位点)を計算する
    90%信頼区間を求めるため、下側から 5%、上側から 5%の点を見つける必要がある。全体のデータ数は 1000 個であるため、それぞれ何番目のデータになるかを計算する。
    • 下側 5%点:\(1000 \times 0.05 = 50\) 番目の値
    • 上側 5%(下から 95%)点:\(1000 \times 0.95 = 950\) 番目の値
  2. グラフの目盛りを読み解く
    累積度数を示すグラフの横軸を見ると、\(3, 4, 5, 6 \dots\) と整数の目盛りが振られており、その間が 4 等分されている。つまり、1 つのヒストグラムの棒(階級の幅)は 0.25 刻みである。
  3. 累積度数から下側 5%点を探す
    グラフの棒の上に書かれた数値(累積度数)を見ていく。
    • 横軸 3.75〜4.00 の区間の累積度数は 17
    • 横軸 4.00〜4.25 の区間の累積度数は 57

    50 番目のデータは累積度数が 17 から 57 に増える区間、すなわち 4.00 から 4.25 の間に含まれていることがわかる。

  4. 累積度数から上側 5%点を探す
    同様に、上の方の累積度数を見ていく。
    • 横軸 7.75〜8.00 の区間の累積度数は 918
    • 横軸 8.00〜8.25 の区間の累積度数は 976

    950 番目のデータは累積度数が 918 から 976 に増える区間、すなわち 8.00 から 8.25 の間に含まれていることがわかる。

  5. 選択肢と照らし合わせる
    求めた区間 \((4.00\text{〜}4.25,\ 8.00\text{〜}8.25)\) に当てはまる上限・下限を持つ選択肢を探す。階級の端点を取ると仮定すると、下限は 4.25 付近、上限は 8.25 付近となる。用意された選択肢の中でこれに合致するのは ④ (4.25, 8.25) のみである。

従って、正解は ④ である。

 

 

よくある質問

Q. ブートストラップ法とは何ですか?通常の信頼区間との違いは?

ブートストラップ法は、手元の標本から復元抽出を繰り返してブートストラップ標本を大量に生成し、その統計量の分布を推定分布として利用する手法。母集団の分布を仮定しなくてよい点が最大の特徴で、正規分布の仮定が難しい場面でも適用できる。通常の信頼区間は分布の仮定に基づいた理論式で計算するが、ブートストラップは計算機でシミュレーションして分布を経験的に求める。

Q. パーセンタイル法で信頼区間を構成するとき、何番目の値を使えばよいですか?

信頼水準 \(1-\alpha\) の信頼区間を \(B\) 個のブートストラップ標本平均から作る場合、下側 \(\alpha/2\) 点は \(B \times \alpha/2\) 番目、上側 \(\alpha/2\) 点は \(B \times (1-\alpha/2)\) 番目の値を使う。この問題では \(B=1000,\ \alpha=0.10\) なので、50番目と950番目の値が対応する。

Q. 累積度数グラフから「50番目が4.00〜4.25の区間に入る」とどうわかるのですか?

累積度数はその階級以下の個数の合計なので、「50番目のデータが属する区間」は「累積度数が初めて50以上になる階級」と一致する。この問題では3.75〜4.00の時点で累積17、4.00〜4.25の時点で累積57となるため、50番目は4.00〜4.25の区間に収まっていると判断できる。

 

 

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