この問題のテーマ・前提知識
- テーマ: 余事象の確率・対数近似 \(\log(1-p) \approx -p\)
- 前提知識: 独立試行の積の確率 / 余事象(1から引く)の考え方 / 自然対数の近似 \(\ln(1-p) \approx -p\)(\(p\) が0に近い場合)
問題の概要
2つの小問からなる。[1] 1株あたりウイルスAが検出される確率を \(p\) とし、\(n\) 株を独立に検査したときに少なくとも1株で検出される確率 \(\beta\) を \(p\) と \(n\) で表す。[2] \(p = 1/10000\)、\(\beta = 0.99\)、\(\log(0.01) \approx -4.6\) の条件のもと、必要な検体数 \(n\) を近似計算で求める。
解説
解法の方針:[1] 「少なくとも1株で検出」の余事象(すべての株で検出されない)を先に求め、1から引いて \(\beta\) を表す。[2] [1] の式を \(n\) について解き、\(\log(1-p) \approx -p\) の近似を適用して数値を代入する。
[1]
- 1株の検査でウイルスAが見つかる確率は \(p\) である。
- したがって、1株の検査でウイルスAが見つからない確率は \(1 – p\) となる。
- 検査は独立に行われるため、\(n\) 株の検査すべてでウイルスAが見つからない確率は、\((1 – p)\) を \(n\) 回掛け合わせた \((1 – p)^n\) となる。
- 求める確率 \(\beta\) は、全体の確率である 1 から、この余事象の確率を引いたものである。
よって、求める式は以下の通りである。
\[\beta = 1 – (1 – p)^n\]
[2]
\[(1 – p)^n = 1 – \beta\]
\[\log((1 – p)^n) = \log(1 – \beta)\]
\[n \log(1 – p) = \log(1 – \beta)\]
ここで、問題文で与えられている近似式 \(\log(1 – p) \approx -p\) を適用する。\(p = \frac{1}{10000}\) は 0 に十分近いため、この近似が有効である。
\[n (-p) \approx \log(1 – \beta)\]
\[n \approx -\frac{\log(1 – \beta)}{p}\]
最後に、与えられた具体的な数値を代入して計算する。
- \(p = \frac{1}{10000}\)
- \(\beta = 0.99\) より、\(1 – \beta = 1 – 0.99 = 0.01\)
\[n \approx -\frac{\log(0.01)}{\frac{1}{10000}}\]
問題文の条件より \(\log(0.01) \approx -4.6\) であるため、これを代入する。
\[n \approx -\frac{-4.6}{\frac{1}{10000}}\]
\[n = 46000\]
従って、求める \(n\) の値は 46000 である。
よくある質問
Q. なぜ余事象を使って \(\beta\) を求めるのですか?
「少なくとも1株で検出される」という事象を直接計算しようとすると、1株・2株・…・n株で検出される場合を個別に足し合わせる必要が生じて煩雑になる。余事象の「すべての株で検出されない」確率 \((1-p)^n\) は独立試行の積で一発で求まるため、1から引く方が圧倒的に簡単になる。
Q. \(\log(1-p) \approx -p\) はどんなときに使える近似ですか?
\(p\) が 0 に十分近い場合に成り立つ自然対数のテイラー展開による近似(\(\ln(1-p) = -p – p^2/2 – \cdots \approx -p\))である。今回は \(p = 1/10000 = 0.0001\) と非常に小さいため、2次以降の項は無視できる。問題文で近似式が明示されている場合はそのまま使えばよい。
Q. 計算で使う \(\log\) は常用対数ですか、自然対数ですか?
この問題では \(\log(0.01) \approx -4.6\) という値が与えられているため、自然対数(\(\ln\))として扱う。常用対数(底10)なら \(\log_{10}(0.01) = -2\) となり一致しない。準1級の問題では底が明示されないことがあるので、与えられた数値から判断することが重要である。



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