この問題のテーマ・前提知識
- テーマ: ピアソン相関係数の検定・t分布
- 前提知識: 相関係数の定義式 \(R = S_{xy}/\sqrt{S_{xx}S_{yy}}\) / t分布表の読み方 / 偏差平方和・偏差積和の計算
問題の概要
ピアソン相関係数の検定(\(n=8\))に関する2小問。[1] 検定統計量 \(T=\sqrt{6R^2/(1-R^2)}\) が従う分布を特定し、有意水準5%両側検定の棄却限界値を求める。[2] 与えられた偏差平方和・偏差積和から \(R\) を計算し、検定統計量 \(T\) の実現値を求める。
解説
解法の方針:[1] 帰無仮説 \(\rho=0\) のもとで \(t = R\sqrt{n-2}/\sqrt{1-R^2}\) が \(t(n-2)\) 分布に従い、\(T = |t(6)|\) に対応する。\(t_{0.025}(6) \approx 2.45\) を棄却限界値とする。[2] \(R = S_{xy}/\sqrt{S_{xx}S_{yy}}\) を計算してから \(T = \sqrt{6R^2/(1-R^2)}\) に代入する。
[1]
まず、ピアソンの相関係数 \(R\) を用いた検定統計量の性質を考える。
一般に、サンプルサイズ \(n\) のデータにおいて、母相関係数が 0 であるという帰無仮説のもとでは、以下の統計量 \(t\) は自由度 \(n-2\) の \(t\) 分布に従うことが知られている。
\[t = \frac{R\sqrt{n-2}}{\sqrt{1-R^2}}\]
問題文で与えられている検定統計量 \(T\) は以下の通りである。
\[T = \sqrt{\frac{6R^2}{1-R^2}} = |R| \sqrt{\frac{6}{1-R^2}}\]
この式に、今回のサンプルサイズ \(n=8\) を当てはめると \(n-2=6\) となるため、この \(T\) は「自由度 6 の \(t\) 分布に従う統計量の絶対値」であることがわかる。
棄却限界値の算出
- 有意水準: 5 %(両側検定)
- 自由度: \(df = 8 – 2 = 6\)
- 分布: \(t\) 分布
\(t\) 分布表より、自由度 6 における上側 2.5 %点(両側 5 %点)を求めると、\(2.4469 \dots\) である。
従って、答えは 2.45 である。
[2]
実際のデータ(偏差平方和と偏差積和)を用いて \(T\) の値を計算する。
与えられた値は以下の通りである。
- \(x\) の偏差平方和 \(S_{xx} = 7.16\)
- \(y\) の偏差平方和 \(S_{yy} = 9.68\)
- \(x\) と \(y\) の偏差積和 \(S_{xy} = 5.91\)
相関係数 \(R\) の公式は以下の通りである。
\[R = \frac{S_{xy}}{\sqrt{S_{xx} S_{yy}}}\]
これを計算すると、
\[R = \frac{5.91}{\sqrt{7.16 \times 9.68}} = \frac{5.91}{\sqrt{69.3088}} \approx \frac{5.91}{8.32519} \approx 0.70989\]
\(R^2\) を用いて \(T\) を求める。
\[R^2 = \frac{5.91^2}{69.3088} = \frac{34.9281}{69.3088} \approx 0.50395\]
\[1 – R^2 = 1 – 0.50395 = 0.49605\]
これらを \(T\) の式に代入する。
\[T = \sqrt{\frac{6 \times 0.50395}{0.49605}} = \sqrt{\frac{3.0237}{0.49605}} \approx \sqrt{6.0955…}\]
\[\sqrt{6.0955} \approx 2.4689 \dots\]
従って、答えは 2.47 である。
よくある質問
Q. 相関係数の検定統計量の自由度がn-2になるのはなぜですか?
回帰直線のパラメータ(切片と傾き)2つを推定するため自由度が2減る。2変量正規分布の相関係数を検定する際も同様に、残差の自由度がn-2となる。
Q. 相関係数が高くても回帰分析がうまくいかないことはありますか?
外れ値1点で相関係数が大きく変わることがある(アンスコムの四つ組が有名例)。散布図を必ず確認し、外れ値や非線形関係がないかチェックすることが重要。
Q. 偏差積和 \(S_{xy}\) の計算で注意すべき点は?
\(S_{xy}=\sum x_i y_i – n\bar{x}\bar{y}\) という計算式は \(\sum(x_i-\bar{x})(y_i-\bar{y})\) と等価だが、数値計算的には後者の方が桁落ちが少なく安定する場合がある。



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