統計学

【統計検定準1級】2019年6月 選択問題及び部分記述問題 問1【解答例・解説】

この問題のテーマ・前提知識

  • テーマ: ポアソン分布の再生性・条件付き分布(二項分布への帰着)
  • 前提知識: ポアソン分布 \(\text{Po}(\lambda)\) の平均・分散がともに \(\lambda\) であること / 独立なポアソン分布の和の性質 / 条件付き分布と二項分布の関係

 

 

問題の概要

2つの小問からなる。[1] パラメータが異なる2つの独立なポアソン分布に従う確率変数の和の分布・平均・分散を求める。[2] 同じ2変数において合計値を固定したとき、一方の変数の条件付き分布の分布名と平均を求める。

 

 

解説

解法の方針:[1] ポアソン分布の再生性により和もポアソン分布に従うことを利用し、平均・分散を求める。[2] 独立なポアソン変数の和を固定したときの条件付き分布が二項分布になる定理を使い、パラメータと平均を計算する。

[1]

ポアソン分布の和の性質

独立なポアソン分布の和もまた、ポアソン分布に従う。これをポアソン分布の再生性と呼ぶ。

\(X \sim \text{Po}(\lambda_1)\)、\(Y \sim \text{Po}(\lambda_2)\) のとき、その和は以下のようになる。

\[X + Y \sim \text{Po}(\lambda_1 + \lambda_2)\]

今回のケースでは \(\lambda_1 = 3, \lambda_2 = 2\) なので、

\[X + Y \sim \text{Po}(3 + 2) = \text{Po}(5)\]

となる。

平均と分散の特定

ポアソン分布 \(\text{Po}(\lambda)\) の大きな特徴は、平均と分散がともに \(\lambda\) になることである。

従って、合計得点 \(X + Y\) の値は以下の通りになる。

  • 平均: \(3 + 2 = \mathbf{5}\)
  • 分散: 平均と同じく \(\mathbf{5}\)
[2]

二項分布への帰着

一般に、\(X \sim \text{Po}(\lambda_1)\) と \(Y \sim \text{Po}(\lambda_2)\) が独立であるとき、\(X + Y = n\) という条件の下での \(X\) の条件付き分布は、二項分布 \(B(n, p)\) に従う。

ここで、成功確率 \(p\) は以下の式で表される。

\[p = \frac{\lambda_1}{\lambda_1 + \lambda_2}\]

今回の問題の数値を当てはめると、以下のようになる。

  • 試行回数 \(n = 4\)
  • 成功確率 \(p = \frac{3}{3 + 2} = \frac{3}{5} = 0.6\)

つまり、条件付き分布は 二項分布 \(B(4, 0.6)\) である。

平均の計算

二項分布 \(B(n, p)\) の平均(期待値)は \(E[X] = np\) で計算できる。

\[E[X | X + Y = 4] = 4 \times 0.6 = \mathbf{2.4}\]

従って、

  • 平均: \(\mathbf{2.4}\)
  • 分布名: 二項分布

 

 

よくある質問

Q. ポアソン分布の再生性はなぜ成り立つのですか?

確率母関数(または積率母関数)を使って証明できる。\(X \sim \text{Po}(\lambda_1)\) の確率母関数は \(e^{\lambda_1(t-1)}\) であり、独立な \(Y\) と合わせると \(e^{(\lambda_1+\lambda_2)(t-1)}\) となり、これが \(\text{Po}(\lambda_1+\lambda_2)\) の確率母関数に一致する。

Q. 条件付き分布が二項分布になる理由がわかりません。

直感的には、合計 \(n\) 個の事象のうち各事象が「\(X\) 由来か \(Y\) 由来か」を独立に振り分けるベルヌーイ試行と見なせるから。それぞれの事象が \(X\) 由来である確率が \(p = \lambda_1/(\lambda_1+\lambda_2)\) で一定なため、\(n\) 回の試行で成功数を数える二項分布と同型になる。

Q. ポアソン分布の平均と分散がどちらも \(\lambda\) になることの意味は?

通常の分布では平均と分散は独立なパラメータだが、ポアソン分布では1つの \(\lambda\) で両方が決まる。これは「稀な事象の個数」を扱うモデルの特徴であり、\(\lambda\) が大きいほど散らばりも大きくなることを意味する。準1級では「平均=分散=\(\lambda\)」をそのまま使える形で出題されることが多い。

 

 

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