統計学

【統計検定準1級】2019年6月 選択問題及び部分記述問題 問2【解答例・解説】

この問題のテーマ・前提知識

  • テーマ: クーポンコレクター問題・幾何分布の期待値
  • 前提知識: 幾何分布の平均 \(E[X] = \frac{1}{p}\) / 期待値の線形性

 

 

問題の概要

2つの小問からなる。[1] 等確率で封入された3種類のカードを全種類揃えるまでに必要な購入回数の期待値を求める。[2] 3種類揃えた後にさらに4種類目も揃えた場合の期待値 \(x\) と、最初から4種類として全種類揃える場合の期待値 \(y\) を求め、その差 \(x – y\) を計算する。

 

 

解説

解法の方針:[1] 新しい種類を引く確率を段階ごとに求め、各段階の幾何分布の期待値 \(1/p\) を合計する。[2] \(x\) は [1] の結果に4種類目を引くまでの期待値を加算し、\(y\) は4段階のクーポンコレクター和として計算。最後に \(x – y\) を分数で求める。

[1]

3種類のカードを A, B, C とし、これらをすべて揃えるまでの購入回数の期待値を求める。

  1. 1種類目を入手するまで
    まだ何も持っていない状態から、どのカードでも良いので1枚目を入手する確率は \(p_1 = \frac{3}{3} = 1\) である。よって、必要な回数の期待値は \(E_1 = \frac{1}{p_1} = 1\) 回となる。
  2. 2種類目を入手するまで
    すでに1種類持っている状態で、それとは異なる残りの2種類のいずれかを引く確率は \(p_2 = \frac{2}{3}\) である。ヒントにある通り、幾何分布の平均は \(p^{-1}\) なので、必要な回数の期待値は \(E_2 = \frac{1}{2/3} = \frac{3}{2}\) 回となる。
  3. 3種類目を入手するまで
    すでに2種類持っている状態で、最後の一枚を引く確率は \(p_3 = \frac{1}{3}\) である。必要な回数の期待値は \(E_3 = \frac{1}{1/3} = 3\) 回となる。

全体の期待値

これらを合計すると、3種類すべてを揃えるまでの期待値は以下のようになる。

\[E = E_1 + E_2 + E_3 = 1 + \frac{3}{2} + 3 = \frac{11}{2} = 5.5\]

[2]

1. 期待値 \(x\) の算出

問題文の「4種類すべてを揃えるのに必要な購入回数」とは、最初に3種類を揃えるために費やした回数と、その後4種類目が出るまでに追加で費やした回数の合計を意味する。

  • 最初の3種類を揃えるまでの回数
    [1]で求めた通り、この期待値は 5.5 回である。
  • 追加の1種類(4枚目)を引くまでの回数
    4種類が等確率で入っている状態から、持っていない残り1枚を引く確率は \(p = \frac{1}{4}\) である。このとき、追加で必要な購入回数の期待値は \(\frac{1}{p} = 4\) 回となる。
  • 合計の期待値 \[x = 5.5 + 4 = 9.5\]

2. 期待値 \(y\) の算出

\(y\) は「最初から4種類あった場合」の期待値である。これは、新しい種類を引く確率が「\(\frac{4}{4} \rightarrow \frac{3}{4} \rightarrow \frac{2}{4} \rightarrow \frac{1}{4}\)」と変化していく合計として計算される。

\[y = \sum_{k=0}^{3} \frac{4}{4-k} = \frac{4}{4} + \frac{4}{3} + \frac{4}{2} + \frac{4}{1}\]

\[y = 1 + \frac{4}{3} + 2 + 4 = 7 + \frac{4}{3} = \frac{25}{3}\]

3. 期待値の差 \(x – y\) の計算

最後に、\(x\) と \(y\) の差を求める。計算を簡単にするため、9.5 を分数(\(\frac{19}{2}\))に直して計算する。

\[x – y = 9.5 – \frac{25}{3}= \frac{7}{6}\]

 

 

よくある質問

Q. なぜ各段階の期待値を足し合わせるだけで全体の期待値が求まるのですか?

期待値の線形性(\(E[X+Y]=E[X]+E[Y]\))が成り立つため。各段階で新しい種類を引くまでの試行は独立な幾何分布であり、全購入回数はそれらの和なので期待値も和になる。

Q. \(x\) と \(y\) はどう違うのですか?

\(x\) は「まず3種類を揃える問題を解いてから、さらに4種類目を揃える」という2段階の設定。\(y\) は「最初から4種類が存在する世界で全種類を揃える」標準的なクーポンコレクター問題。3種類目から4種類目に切り替わるタイミングの確率が異なるため、\(x \neq y\) となる。

Q. 差 \(x – y\) がプラスになるのはなぜですか?

\(x\) の設定では、3種類目を引いた後に「4種類目だけを引けばよい(確率 \(\frac{1}{4}\))」という段階が来る。一方 \(y\) では同じ段階で確率 \(\frac{1}{4}\) は同じだが、それ以前の段階(例: 2種類目を引く確率が \(\frac{3}{4}\))が \(x\) より有利なため、\(y < x\) となり差は正になる。

 

 

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