統計学

【統計検定準1級】2018年6月 選択問題及び部分記述問題 問1【解答例・解説】

この問題のテーマ・前提知識

  • テーマ: ベイズの定理・条件付き確率(2段階検査の真陽性率計算)
  • 前提知識: 条件付き確率の定義 \(P(A|B) = P(A \cap B)/P(B)\) / 全確率の法則 / ベイズの定理の基本形

 

 

問題の概要

2つの小問からなる。[1] 感染率・感度・特異度が与えられた検査1において、陽性判定が出たときに本当に感染している確率(陽性的中率)を求める。[2] 検査1で陽性だった集団に対して感度・偽陽性率が異なる検査2を実施し、再び陽性が出たときの真陽性率を求める。

 

 

解説

解法の方針:[1] 全確率の法則で検査1の陽性確率を求め、ベイズの定理で真陽性率を計算する。[2] [1]の結果(感染率50%)を新たな事前確率として検査2に適用し、同様にベイズの定理で真陽性率を求める。

[1]

1. 検査1で陽性が出る確率 \(P(T_1)\) を求める

陽性が出るのは、次の2つのパターンである。

  1. 本当に感染していて、正しく陽性と判定される場合\[0.001 \times 0.999 = 0.000999\]
  2. 感染していないのに、誤って陽性と判定される場合\[0.999 \times 0.001 = 0.000999\]

従って、検査1で陽性が出る全体の確率は、

\[P(T_1) = 0.000999 + 0.000999 = 0.001998\]

となる。

2. 陽性者のうち、本当に感染している確率を求める

これは、上記の「全体(陽性判定)」のうち、「本当に感染しているケース」が占める割合である。

\[\frac{0.000999}{0.001998} = \frac{1}{2} = 0.5\]

[2]

1. 状況の再設定

検査2を受ける時点で、対象となる集団は「検査1で陽性と出た人たち」に絞られている。

[1] の結果から、この集団における本当の感染率は 50 %である。

  • \(P(\text{感染}’) = 0.5\)
  • \(P(\text{非感染}’) = 0.5\)

2. 検査2で陽性が出る確率 $P(T_2)$ を求める

検査2で陽性が出るのは、以下の2パターンである。

  1. 本当に感染していて、正しく陽性と判定される場合\[0.5 \times 0.95 = 0.475\]
  2. 感染していないのに、誤って陽性と判定される場合\[0.5 \times 0.05 = 0.025\]

全体の陽性確率は \(0.475 + 0.025 = 0.5\) となる。

3. 本当に感染している確率を求める

この「全体」のうち、「本当に感染しているケース」の割合を計算すると、

\[\frac{0.475}{0.5} = \frac{475}{500} = 0.95\]

となる。

 

 

よくある質問

Q. なぜ感染率が低いのに陽性的中率が50%しかないのですか?

感染率が0.1%と非常に低い場合、検査の感度・特異度がともに99.9%でも「感染していないのに陽性になる人数」が「感染していて正しく陽性になる人数」と同程度になる。これがベイズの定理で頻出する「偽陽性の罠」であり、事前確率(感染率)が小さいほど陽性的中率は下がる。

Q. [2]で検査1の結果を「事前確率50%」として使うのはなぜですか?

検査2を受けるのは「検査1で陽性だった人」という条件付きの集団であるため、この集団での感染率は元の集団全体の感染率0.1%ではなく、[1]で求めた50%に更新されている。ベイズ更新の考え方で、新しい情報(検査1の結果)を得るたびに事前確率を更新していくのが2段階検査の本質。

Q. 検査1と検査2で感度・特異度の数値が違うのはなぜですか?

問題設定によるが、一般に2段階スクリーニングでは1次検査(感度重視・特異度低め)で広く拾い、2次検査(特異度重視・感度高め)で絞り込む設計が多い。この問題でも検査2の感度が0.95と高く設定されており、偽陽性率(0.05)も検査1より低くなっている点に注目する。

 

 

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