この問題のテーマ・前提知識
- テーマ: 全確率の定理・ベイズの定理・条件付き独立
- 前提知識: 条件付き確率の定義 \(P(A|B) = P(A \cap B)/P(B)\) / 全確率の定理 / ベイズの定理 / 条件付き独立の意味
問題の概要
ニュース記事がトピック(政治・経済・その他)に分類されるモデルを考える。各トピックへの分類確率と、トピックごとに特定の単語(「国会」「株価」)を含む条件付き確率が与えられている。[1] トピックによらず「株価」を含む確率(周辺確率)を求める。[2] 「国会を含み株価を含まない」という条件のもとで、トピックが政治である確率がトピックが経済である確率の何倍かを求める。
解説
解法の方針:[1] 全確率の定理を使い、各トピックで「株価」を含む確率を足し合わせて周辺確率を計算する。[2] ベイズの定理で条件付き確率の比を立て、条件付き独立の仮定を使って各トピック内の確率を分解してから数値代入する。
[1]
これは、どのトピックに分類されているかに関わらず、事象 \(B\) が起こる確率 \(P(B)\) を求める問題である。
全確率の定理を用いて、各トピックで「株価」を含む確率を足し合わせる。
\[P(B) = P(B \cap T_1) + P(B \cap T_2) + P(B \cap T_3)\]
\[P(B) = P(B|T_1)P(T_1) + P(B|T_2)P(T_2) + P(B|T_3)P(T_3)\]
与えられた数値を代入して計算する。
\[P(B) = 0.10 \times 0.2 + 0.40 \times 0.3 + 0.10 \times 0.5 = 0.19\]
従って、正解は ② 0.19 である。
[2]
まず、「『国会』を含み、『株価』を含まない」という事象を \(C\) とおくと、事象 \(C\) は \(A \cap \bar{B}\) と表せる。
求める値は、「事象 \(C\) が起こったという条件の下でトピックが『政治』である確率 \(P(T_1|C)\)」が、「事象 \(C\) が起こったという条件の下でトピックが『経済』である確率 \(P(T_2|C)\)」の何倍か、つまり以下の比となる。
\[\frac{P(T_1|C)}{P(T_2|C)}\]
ベイズの定理より、それぞれの条件付き確率は次のように表される。
\[P(T_1|C) = \frac{P(C|T_1)P(T_1)}{P(C)}\]
\[P(T_2|C) = \frac{P(C|T_2)P(T_2)}{P(C)}\]
比を求めると分母の \(P(C)\) は約分されるため、計算に必要なのは分子の部分だけである。
\[\frac{P(T_1|C)}{P(T_2|C)} = \frac{P(C|T_1)P(T_1)}{P(C|T_2)P(T_2)}\]
次に、\(P(C|T_1)\) と \(P(C|T_2)\) を計算する。
問題文に「各トピックに分類される記事に対して、『国会』と『株価』を含むかどうかは条件付き独立とする」とある。これは、あるトピックが与えられた下では、事象 \(A\) と事象 \(B\)(およびその余事象)が独立に起こるということを意味する。
よって、\(P(C|T_1)\) は、
\[P(C|T_1) = P(A \cap \bar{B} | T_1) = P(A|T_1) \times P(\bar{B}|T_1)\]
とわかる。
ここで、\(P(\bar{B}|T_1) = 1 – P(B|T_1)\) であるから、
\[P(C|T_1) = 0.30 \times (1 – 0.10) = 0.30 \times 0.90 = 0.27\]
同様に、\(P(C|T_2)\) を計算する。
\[P(C|T_2) = P(A \cap \bar{B} | T_2) = P(A|T_2) \times P(\bar{B}|T_2)\]
\[P(C|T_2) = 0.10 \times (1 – 0.40) = 0.10 \times 0.60 = 0.06\]
これらの値と、最初に確認した \(P(T_1) = 0.2, P(T_2) = 0.3\) を比の式に代入する。
\[\frac{P(T_1|C)}{P(T_2|C)} = \frac{0.27 \times 0.2}{0.06 \times 0.3} = \frac{0.054}{0.018} = 3\]
従って、正解は ④ 3倍 である。
よくある質問
Q. 全確率の定理とベイズの定理の使い分けがわかりません。
全確率の定理は「原因(トピック)が先にあって結果(単語を含む)の確率を求める」方向。ベイズの定理はその逆で、「結果(単語を含んだ)を観測したうえで原因(トピック)の確率を更新する」方向。[1] は前者、[2] は後者のパターンと覚えると判断しやすい。
Q. 条件付き独立とはどういう意味ですか?
\(T_i\) が与えられたもとで \(A\) と \(B\) が条件付き独立とは、\(P(A \cap B | T_i) = P(A|T_i) \times P(B|T_i)\) が成り立つことを指す。これはトピックを固定すれば単語の出現が互いに無関係になるという仮定で、ナイーブベイズ分類器の根幹となる考え方でもある。
Q. [2] で比を取ると \(P(C)\) が消えるのはなぜですか?
ベイズの定理で展開すると \(P(T_i|C) = P(C|T_i)P(T_i)/P(C)\) の形になる。比 \(P(T_1|C)/P(T_2|C)\) を計算すると分子・分母の両方に \(P(C)\) が現れるため、約分されて消える。分母 \(P(C)\) を計算しなくても答えが出るのがこの問題のポイントである。



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