この問題のテーマ・前提知識
- テーマ: 各種平均(調和平均・加重平均・幾何平均)の使い分け
- 前提知識: 調和平均の定義 \(\bar{v} = \frac{n}{\sum 1/v_i}\) / 加重平均の計算 / 幾何平均・相乗平均と年平均成長率の関係
問題の概要
3つの小問からなる。[1] 行き帰りで異なる速さで移動したときの往復の平均速度を求める。[2] 3種類の定食の売上金額と食数が与えられたとき、1食あたりの平均価格を求める。[3] 4年間の伸び率が与えられたとき、年平均成長率を求める。
解説
解法の方針:[1] 距離が等しい往復の平均速度は算術平均ではなく調和平均を使う。[2] 各定食の売上金額合計を売上食数合計で割る加重平均を計算する。[3] 4年分の伸び率をすべて掛け合わせた積の4乗根(幾何平均)を求める。
[1]
調和平均を用いる。
行きと帰りの速さをそれぞれ \(v_1 = 10\)、\(v_2 = 15\) とすると、往復の平均の速さ \(v\) は以下の式で計算できる。
\[v = \frac{2}{\frac{1}{v_1} + \frac{1}{v_2}}\]
値を代入すると、
\[v = \frac{2}{\frac{1}{10} + \frac{1}{15}} = \frac{2}{\frac{3}{30} + \frac{2}{30}} = \frac{2}{\frac{5}{30}} = \frac{2}{\frac{1}{6}} = 12\]
従って、正解は 12 である。
[2]
それぞれの定食の「価格 \(\times\) 売上数」を計算して合計金額を出し、それを全体の売上数で割る。
- A定食の合計売上:\(550 \times 450 = 247{,}500\) 円
- B定食の合計売上:\(500 \times 700 = 350{,}000\) 円
- C定食の合計売上:\(450 \times 850 = 382{,}500\) 円
合計金額は \(247{,}500 + 350{,}000 + 382{,}500 = 980{,}000\) 円。
合計の売上数は \(450 + 700 + 850 = 2{,}000\) 食。
これを式にまとめると以下のようになる。
\[\frac{550 \times 450 + 500 \times 700 + 450 \times 850}{450 + 700 + 850} = \frac{980000}{2000} = 490\]
従って、正解は 490 である。
[3]
4年間の伸び率をすべて掛け合わせ、その値の4乗根を求める。
\[\sqrt[4]{1.044 \times 0.982 \times 1.025 \times 0.991}\]
\[1.044 \times 0.982 \times 1.025 \times 0.991 \approx 1.04138\]
\[\sqrt[4]{1.04138} \approx 1.010188\dots\]
従って、正解は 1.01 である。
よくある質問
Q. 往復の平均速度でなぜ算術平均ではなく調和平均を使うのですか?
算術平均は「同じ時間」で異なる速さを平均するときに使う。往復の場合は行きと帰りで「同じ距離」を移動するため、かかる時間が速さによって異なる。この場合は総距離÷総時間が真の平均速度になり、それが調和平均と一致する。距離ではなく時間が等しい場合は算術平均を使う、と使い分けを覚えるとよい。
Q. 加重平均と算術平均はどう違うのですか?
算術平均は各値を同じ重みで足して個数で割る。加重平均は各値に「重み(今回は売上食数)」を掛けてから合計し、重みの合計で割る。今回のように品目ごとに売上数が異なる場合、算術平均 \((550+500+450)/3 = 500\) とすると実態を反映しない。売れた量に応じた重みをかける加重平均が正しい。
Q. 年平均成長率の計算で幾何平均を使う理由は何ですか?
伸び率は「前年比を掛け合わせる」乗法的な操作で積み上がるため、足して割る算術平均では整合しない。4年分の伸び率の積が「4年後の累積倍率」に等しいので、その4乗根を取ることで「毎年この倍率で成長したと仮定したときの1年あたりの平均倍率」が求められる。これが幾何平均(相乗平均)の意味である。



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