統計学

【統計検定準1級】2017年6月 選択問題及び部分記述問題 問4|サンドイッチの厚さの分散【解答例・解説】

この問題のテーマ・前提知識

 

 

問題の概要

パンとハムの厚さがそれぞれ独立にばらつく状況で、2種類の製造方法によるサンドイッチの厚さの分散を比較する問題。方法1は別々のパンを2枚使い、方法2は1枚のパンを切断して2枚とする。それぞれの分散を求め、大小を判定する。

 

 

解説

解法の方針:[1] 方法1・方法2それぞれでサンドイッチの厚さを確率変数の式で表し、独立性の扱いの違いに注意しながら分散を計算して比較する。

[1]

1. 前提条件の整理

まず、与えられたパンとハムの厚さに関する分散を整理しておく。

  • パンの厚さの確率変数を \(X\) とすると、その分散 \(V(X)\) は\[V(X) = 1.0^2 = 1\]
  • ハムの厚さの確率変数を \(Y\) とすると、その分散 \(V(Y)\) は\[V(Y) = 0.5^2 = 0.25\]

また、パンの厚さとハムの厚さはそれぞれ独立してばらつくものとする。

2. 方法1で生産するサンドイッチの厚さ \(Z_1\) の分散

方法1では、「大量に貯めてあるパンの中から2枚をランダムに抜き出し」ている。これは、別々のパンを2枚持ってくるということである。

1枚目のパンの厚さを \(X_1\)、2枚目のパンの厚さを \(X_2\) とする。これらはランダムに選ばれているため、互いに独立であり、それぞれが分散 \(V(X) = 1\) を持つ確率変数である。ハムの厚さ \(Y\) もこれらと独立している。

サンドイッチの厚さ \(Z_1\) は、これら3つの厚さの合計なので次のように表せる。

\[Z_1 = X_1 + X_2 + Y\]

互いに独立な確率変数の和の分散は、それぞれの分散の和となるため、次のように計算できる。

\[V(Z_1) = V(X_1 + X_2 + Y)\]

\[V(Z_1) = V(X_1) + V(X_2) + V(Y)\]

それぞれに値を代入する。

\[V(Z_1) = 1 + 1 + 0.25 = 2.25\]

3. 方法2で生産するサンドイッチの厚さ \(Z_2\) の分散

方法2では、「ランダムに1枚を選び、それを切断し」て2枚のパンとして使用している。問題文に「同一のパン内での厚さのばらつきは無視してよい」とあるため、この2枚のパンの厚さは全く同じ値になる。

選んだ1枚のパンの厚さを \(X\) とすると、サンドイッチを構成する上下のパンはどちらも厚さ \(X\) となる。

よって、サンドイッチの厚さ \(Z_2\) は次のように表せる。

\[Z_2 = X + X + Y = 2X + Y\]

ここで、定数倍された確率変数の分散の公式 \(V(aX) = a^2 V(X)\) を用いる。\(X\) と \(Y\) は独立であるため、次のように計算できる。

\[V(Z_2) = V(2X + Y)\]

\[V(Z_2) = V(2X) + V(Y)\]

\[V(Z_2) = 2^2 V(X) + V(Y)\]

\[V(Z_2) = 4 V(X) + V(Y)\]

それぞれに値を代入する。

\[V(Z_2) = 4 \times 1 + 0.25 = 4.25\]

4. 結論

以上の計算から、それぞれの分散は以下のようになる。

  • \(V(Z_1) = 2.25\)
  • \(V(Z_2) = 4.25\)

従って、正解は ② である。

 

 

よくある質問

Q. 方法2で「同じパン \(X\) を2回足す」と書いてよいのはなぜですか?

同一個体のパンを切断して使うため、2枚の厚さは同じ確率変数 \(X\) で表される。これは「2枚が完全に相関している(相関係数=1)」状態であり、\(V(X + X) = V(2X) = 4V(X)\) となる。別々のパンを選ぶ方法1と異なり、独立性の仮定が使えない点がポイント。

Q. \(V(aX) = a^2 V(X)\) はなぜ係数が2乗になるのですか?

分散の定義 \(V(aX) = E[(aX – E[aX])^2] = E[a^2(X – E[X])^2] = a^2 V(X)\) による。定数 \(a\) は2乗で外に出る。これに対し期待値は \(E[aX] = aE[X]\) と1乗で出るため、混同しないよう注意。

Q. 独立な変数の和の分散公式はいつ使えますか?

\(V(X + Y) = V(X) + V(Y)\) が成り立つのは \(X\) と \(Y\) が独立(または無相関)のときだけ。一般には \(V(X + Y) = V(X) + V(Y) + 2\text{Cov}(X, Y)\) となる。方法2の \(2X + Y\) では \(X\) と \(Y\) は独立なのでこの公式が使えるが、\(X + X\) の部分は独立でないため \(V(2X) = 4V(X)\) と処理する。

 

 

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