統計学

【統計検定準1級】2015年6月 選択問題及び部分記述問題 問3【解答例・解説】

この問題のテーマ・前提知識

  • テーマ: 母比率の信頼区間・必要サンプルサイズの算出
  • 前提知識: 標本比率の正規近似(中心極限定理)/ 信頼区間の基本形 \(\hat{p} \pm z \cdot SE\) / 標準誤差 \(SE = \sqrt{\hat{p}(1-\hat{p})/n}\)

 

 

問題の概要

2つの小問からなる。[1] 有権者978人への調査で内閣支持率が54%と得られたとき、母比率 \(p\) の95%信頼区間を求める。[2] 信頼区間の幅を2%以内に収めるために必要な最小サンプルサイズ \(n\) を求める。

 

 

解説

解法の方針:[1] 標本比率の正規近似を用い、\(\hat{p} \pm 1.96\sqrt{\hat{p}(1-\hat{p})/n}\) の公式に数値を代入して95%信頼区間を計算する。[2] 区間幅の式を \(n\) について解き、最悪ケース \(\hat{p}=0.5\) を使って必要サンプルサイズを導出する。

[1]

調査で「内閣支持率が54%」とわかった。

しかし、これは たまたま回答が得られた978人の結果 なので、母集団(有権者全体)の 真の支持率 \(p\) とはズレる可能性がある。

そこで、母集団の本当の支持率 \(p\) が入りそうな範囲 を「95%信頼区間」として求める。

支持率は「支持 / 回答者数」という 割合(比率) なので、

  • 標本比率:\(\hat{p}=0.54\)
  • 母集団比率:\(p\)(未知)

を考える。

比率の信頼区間の基本形は、

\[\hat{p}​\pm z×SE\]

  • \(z\):正規分布の値(95%なら1.96)
  • \(SE\):標本比率 \(\hat{p}\)​ の標準誤差(ばらつきの大きさ)

したがって、

\[0.54\pm 1.96\sqrt{0.54×(1-0.54)/978}=0.54\pm 0.031=(0.509, 0.571)\]

[2]

区間幅が 2% となることから、

\[2×1.96\sqrt{0.5×(1-0.5)/n}=0.02\]

という等式を解くと、

\[n=(2×1.96×0.5/0.02)^2=9604\]

となる。

 

 

よくある質問

Q. 信頼区間の公式で \(\hat{p}\) と \(p\) のどちらを使えばよいですか?

真の \(p\) は未知なので、標準誤差の計算には標本比率 \(\hat{p}\) で代用する。[2] では最悪ケースとして \(\hat{p}=0.5\) を使うが、これは \(\hat{p}(1-\hat{p})\) が \(\hat{p}=0.5\) のとき最大(0.25)になるためで、どんな \(p\) でも成り立つ必要サンプルサイズを保証できる。

Q. なぜ 95% 信頼区間の \(z\) 値は 1.96 なのですか?

標準正規分布において、両側5%を除いた中央95%の範囲が \(-1.96\) から \(1.96\) になるため。正規分布表で \(P(Z \leq 1.96) \approx 0.975\) を確認するか、公式として暗記しておくとよい。

Q. 「区間幅 2%」と「±1%」の関係がわかりません。

信頼区間は \(\hat{p} \pm E\)(\(E\) は誤差限界)の形で、幅は \(2E\) となる。幅を 2% にするには \(E=0.01\) とすればよいが、式全体の「幅 = 右端 − 左端 = 2E」として立式すると [2] の等式が導ける。単位を % と小数で混同しないよう注意する。

 

 

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