この問題のテーマ・前提知識
- テーマ: 正規分布の応用(偏差値・四分位範囲・切断正規分布の条件付き期待値)
- 前提知識: 正規分布 \(N(\mu, \sigma^2)\) の標準化(\(z\) 値)/ 偏差値の定義 \(z \times 10 + 50\) / 標準正規分布の分位点 / 切断正規分布の期待値計算
問題の概要
得点が平均60点・標準偏差20点の正規分布に従う500人のテストを題材に4つの小問が設けられている。[1] 特定の受験者の偏差値を求める。[2] AとBの間の偏差値帯に入る受験者数を推定する。[3] 得点分布の四分位範囲を求める。[4] 60点以上の受験者の平均点(切断正規分布の期待値)を求める。
解説
解法の方針:[1] \(z\) 値を求めて偏差値の公式に代入する。[2] 標準正規分布の累積確率の差から該当する人数を計算する。[3] 標準正規分布の四分位点(±0.675)に標準偏差を掛けて四分位範囲を求める。[4] 半正規分布の期待値公式を使い、切断点より上の条件付き期待値を計算する。
[1]
\[偏差値=z値×10+50=\frac{データ値-平均値}{標準偏差}×10+50\]
A君の \(z\) 値は、\((80-60)/20=1.0\)より、A君の偏差値は、
\[1.0×10+50=60\]
となる。
B君の \(z\) 値は、\((50-60)/20=-0.5\)より、B君の偏差値は、
\[-0.5×10+50=45\]
となる。
[2]
\(Z\sim N(0,1)\)とすると、
\[P(Z\leq 1.0)=0.8413\]
\[P(Z\leq -0.5)=0.3085\]
であるから、
\[P(-0.5\leq Z\leq 1.0)=0.8413-0.3085=0.5328\]
となる。
受験者は全部で 500人 なので、 \(500×0.5328\approx 266.4\) 人とわかる。
[3]
四分位範囲とは 第1四分位数から第3四分位数までの範囲 のことである。
\(N(0,1)\)の下側 25 %点はおおよそ -0.675 、上側 25 %点はおおよそ 0.675 であるから、
四分位範囲は \(0.675×2=1.35\) となる。
今回、テストの得点の標準偏差は 20 点であるから、四分位範囲は \(1.35×20=27\) 点とわかる。
[4]
\(Z\sim N(0,1)\)とすると、
\[E[Z|Z\geq 0]=\frac{2}{\sqrt{2\pi}}\int_0^\infty ze^{-z^2/2}dz=\frac{2}{\sqrt{2\pi}}[-e^{-z^2/2}]_0^\infty =\sqrt{\frac{2}{\pi}}\approx 0.798\]
であるから、 60 点以上の受験者の平均点は \(0.798×20+60=75.96\) 点となる。
よくある質問
Q. 偏差値の公式はどう導くのですか?
偏差値は \(z\) 値(標準化した値)を平均50・標準偏差10にスケール変換したもの。\(z = (x – \mu)/\sigma\) を求めたあと \(z \times 10 + 50\) を計算する。本問のように平均が60点・標準偏差が20点なら、平均ちょうど(60点)の受験者の偏差値は50、1標準偏差上(80点)の受験者は60になる。
Q. 四分位点 ±0.675 はどこから来ますか?
標準正規分布 \(N(0,1)\) の累積分布関数 \(\Phi(z) = 0.25\) を満たす \(z\) が約 \(-0.6745\)、\(\Phi(z) = 0.75\) を満たす \(z\) が約 \(+0.6745\) であることから来ている。試験では「0.675」として与えられることが多い。元の分布に戻すときは \(\pm 0.675 \times \sigma\) を平均に足せばよい。
Q. [4] の積分はなぜ \(\sqrt{2/\pi}\) になるのですか?
\(\int_0^\infty z e^{-z^2/2} dz\) は \(u = z^2/2\) と置換すると \(\int_0^\infty e^{-u} du = 1\) になる。これを \(\sqrt{2\pi}/2\)(半正規分布の規格化定数の逆数)で割ると \(\sqrt{2/\pi} \approx 0.798\) が得られる。60点以上の受験者の平均点はこの \(E[Z|Z\geq 0]\) を元のスケールに戻した \(0.798 \times 20 + 60 \approx 75.96\) 点となる。



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