この問題のテーマ・前提知識
問題の概要
2変量正規分布に従う確率変数 \(X, Y\) について、\(V[X]=85^2\)、\(V[Y]=95^2\)、\(V[X+Y]=170^2\) が与えられている。3つの小問からなる。[1] 相関係数 \(\rho\) を求める。[2] \(X-Y\) の標準偏差を求める。[3] \(X=350\) を条件とした \(Y\) の条件付き期待値を求める。ただし \(E[X]=310\)、\(E[Y]=260\) とする。
解説
解法の方針:[1] 分散加法性 \(V[X+Y]=V[X]+V[Y]+2Cov[X,Y]\) から共分散を逆算し、相関係数を求める。[2] \(V[X-Y]=V[X]+V[Y]-2Cov[X,Y]\) に共分散を代入して差の標準偏差を計算する。[3] 2変量正規分布の条件付き期待値の公式に数値を代入する。
[1]
相関係数を求めるには、2つの確率変数 \(X,Y\) の共分散とそれぞれの標準偏差が分かれば良い(参考)。
\[Cov[X, Y]={(V[X+Y]-V[X]-V[Y])}/2\]
より、相関係数 \(\rho\) は、
\[\rho=\frac{{170^2-85^2-95^2}/2}{85×95}=\frac{6325}{8075}\approx 0.783\]
[2]
2つの確率変数 \(X,Y\) の差の標準偏差を求めれば良い(参考)。
\[SD[X-Y]=\sqrt{85^2+95^2-2×6325}=\sqrt{3600}=60\]
となる。
[3]
2変量正規分布の仮定の下、条件付き期待値は、
\[E[Y|X=x]=E[Y]+\rho\sigma_y\frac{x-E[X]}{\sigma_x}=E[Y]+Cov[X, Y]\frac{x-E[X]}{V[X]}\]
である。
従って、
\[260+6325×\frac{350-310}{85^2}\approx 295\]
よくある質問
Q. 共分散を \(V[X+Y]\) から逆算する式はどこから来ていますか?
分散の加法性 \(V[X+Y]=V[X]+V[Y]+2Cov[X,Y]\) を \(Cov[X,Y]\) について解いたもの。\(V[X-Y]=V[X]+V[Y]-2Cov[X,Y]\) も同様に導ける。この変形は準1級頻出なので公式として押さえておくとよい。
Q. 条件付き期待値の公式の2つの表現はどう使い分けますか?
\(E[Y|X=x]=E[Y]+\rho\sigma_y\frac{x-E[X]}{\sigma_x}\) と \(E[Y]+Cov[X,Y]\frac{x-E[X]}{V[X]}\) は同値。前者は \(\rho\) と標準偏差が与えられているとき、後者は共分散と分散が直接与えられているときに使いやすい。今回は \(Cov[X,Y]\) と \(V[X]=85^2\) が既知なので後者が計算しやすい。
Q. \(SD[X-Y]\) の計算で共分散が引かれるのはなぜですか?
\(V[X-Y]=V[X]+(-1)^2V[Y]+2\cdot 1\cdot(-1)Cov[X,Y]=V[X]+V[Y]-2Cov[X,Y]\) と展開されるため。\(X\) と \(Y\) が正の相関を持つほど差のばらつきは小さくなる、という直感とも一致する。



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