統計学

【統計検定準1級】2015年6月 選択問題及び部分記述問題 問8【解答例・解説】

この問題のテーマ・前提知識

  • テーマ: 2変量正規分布における相関係数・差の標準偏差・条件付き期待値
  • 前提知識: 分散・共分散の公式(分散加法性・共分散と分散の関係)/ 標準偏差の計算 / 2変量正規分布の条件付き期待値の公式

 

 

問題の概要

2変量正規分布に従う確率変数 \(X, Y\) について、\(V[X]=85^2\)、\(V[Y]=95^2\)、\(V[X+Y]=170^2\) が与えられている。3つの小問からなる。[1] 相関係数 \(\rho\) を求める。[2] \(X-Y\) の標準偏差を求める。[3] \(X=350\) を条件とした \(Y\) の条件付き期待値を求める。ただし \(E[X]=310\)、\(E[Y]=260\) とする。

 

 

解説

解法の方針:[1] 分散加法性 \(V[X+Y]=V[X]+V[Y]+2Cov[X,Y]\) から共分散を逆算し、相関係数を求める。[2] \(V[X-Y]=V[X]+V[Y]-2Cov[X,Y]\) に共分散を代入して差の標準偏差を計算する。[3] 2変量正規分布の条件付き期待値の公式に数値を代入する。

[1]

相関係数を求めるには、2つの確率変数 \(X,Y\) の共分散とそれぞれの標準偏差が分かれば良い(参考)。

\[Cov[X, Y]={(V[X+Y]-V[X]-V[Y])}/2\]

より、相関係数 \(\rho\) は、

\[\rho=\frac{{170^2-85^2-95^2}/2}{85×95}=\frac{6325}{8075}\approx 0.783\]

[2]

2つの確率変数 \(X,Y\) の差の標準偏差を求めれば良い(参考)。

\[SD[X-Y]=\sqrt{85^2+95^2-2×6325}=\sqrt{3600}=60\]

となる。

[3]

2変量正規分布の仮定の下、条件付き期待値は、

\[E[Y|X=x]=E[Y]+\rho\sigma_y\frac{x-E[X]}{\sigma_x}=E[Y]+Cov[X, Y]\frac{x-E[X]}{V[X]}\]

である。

従って、

\[260+6325×\frac{350-310}{85^2}\approx 295\]

 

 

よくある質問

Q. 共分散を \(V[X+Y]\) から逆算する式はどこから来ていますか?

分散の加法性 \(V[X+Y]=V[X]+V[Y]+2Cov[X,Y]\) を \(Cov[X,Y]\) について解いたもの。\(V[X-Y]=V[X]+V[Y]-2Cov[X,Y]\) も同様に導ける。この変形は準1級頻出なので公式として押さえておくとよい。

Q. 条件付き期待値の公式の2つの表現はどう使い分けますか?

\(E[Y|X=x]=E[Y]+\rho\sigma_y\frac{x-E[X]}{\sigma_x}\) と \(E[Y]+Cov[X,Y]\frac{x-E[X]}{V[X]}\) は同値。前者は \(\rho\) と標準偏差が与えられているとき、後者は共分散と分散が直接与えられているときに使いやすい。今回は \(Cov[X,Y]\) と \(V[X]=85^2\) が既知なので後者が計算しやすい。

Q. \(SD[X-Y]\) の計算で共分散が引かれるのはなぜですか?

\(V[X-Y]=V[X]+(-1)^2V[Y]+2\cdot 1\cdot(-1)Cov[X,Y]=V[X]+V[Y]-2Cov[X,Y]\) と展開されるため。\(X\) と \(Y\) が正の相関を持つほど差のばらつきは小さくなる、という直感とも一致する。

 

 

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