この問題のテーマ・前提知識
- テーマ: 自己回帰モデル AR(1) の性質・DW統計量による自己相関検定
- 前提知識: 1次自己回帰モデル \(\xi_{t+1} = \alpha\xi_t + \epsilon_t\) の定義 / 自己回帰係数 \(\alpha\) の値とグラフ挙動の対応 / ダービン・ワトソン統計量(DW統計量)の定義と判断基準 / 最小二乗推定量の性質
問題の概要
2つの小問からなる。[1] AR(1) モデルにおいて自己回帰係数 \(\alpha\) の値(0.7、0の場合)とグラフの形状を対応づける。[2] DW統計量の性質(取り得る値の範囲・正の自己相関との関係)と、自己相関がある場合の最小二乗推定量の偏りについて正誤を判断する。
解説
解法の方針:[1] \(\alpha\) が大きいほどグラフの変化が穏やか、\(\alpha=0\) でホワイトノイズになることを利用してグラフを特定する。[2] DW統計量の範囲(0〜4)と正の自己相関の検出条件、最小二乗推定量の不偏性を正確に把握して選択肢を絞る。
[1]
\[\xi_{t+1}=\alpha\xi_t+\epsilon_t\]
自己回帰係数 \(\alpha\) が大きな正の値であるほど、一つ前の状態に似た数値となりグラフの変化が穏やかな傾向を示す。
従って、 \(\alpha=0.7\) のときは(B)と考えられる。
また、 \(\alpha=0\) のときはホワイトノイズとなるので、(C)と考えられる。
ちなみに、\(\alpha=1\) のときはランダムウォークとなり、 \(\alpha\) が負の値のときは頻繁に正負が変わるため上下の動きが激しいグラフとなると考えられる。
[2]
DW統計量とは、回帰分析の誤差項において 1 次での自己相関があるかどうかを検出するために用いられる検定統計量である。
DW統計量は 0 から 4 の間の値を取り、 0 に近いときに、 1 次の正の自己相関が疑われる。
また、そのときであっても、回帰係数の通常の最小二乗推定量は偏りを持たない。
よくある質問
Q. \(\alpha\) が負の値のときグラフはどうなりますか?
直前の値の符号が反転して足し込まれるため、正負が交互に入れ替わる振動的なグラフになる。\(\alpha = -1\) に近いほど振幅が大きく、見た目は激しい上下動を繰り返す。試験では「変化が激しい」グラフとして出題されることが多い。
Q. DW統計量が 4 に近いときは何を意味しますか?
1次の負の自己相関が疑われる。DW統計量は 2 付近が「自己相関なし」の目安で、0 に近いほど正の自己相関、4 に近いほど負の自己相関を示す。試験では「0 に近い → 正の自己相関」を問われることが典型的なので、両方向を整理しておくとよい。
Q. 自己相関があっても最小二乗推定量が不偏なのはなぜですか?
最小二乗推定量の不偏性は「誤差項の期待値が 0」という仮定のみで成立し、誤差項の独立性は必要としない。自己相関があると推定量の分散が過小評価され、検定の信頼性が下がるが、推定量そのものの偏りは生じない。この点を混同しやすいため注意が必要。



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