この問題のテーマ・前提知識
- テーマ: 探索的因子分析・スクリープロット・逆転項目・因子間相関
- 前提知識: 因子分析の基礎(因子パターン行列・因子間相関行列) / スクリープロットと因子数の決め方 / 逆転項目の概念
問題の概要
10項目・2因子構造のアンケート調査データの因子分析に関する3小問。[1] 不真面目回答群(A群)と真面目回答群(B群)のスクリープロット・因子パターン・因子間相関を対応させる。[2] B群の因子パターン行列から逆転項目(負の負荷量を持つ項目)を特定する。[3] A群とB群を合わせた場合の項目間相関の性質を問う。
解説
解法の方針:[1] A群は全項目間相関が強く固有値が第1因子に集中→スクリープロット1。B群は2因子構造→スクリープロット2。因子間相関の符号と因子パターンの構造から各群を対応させる。[2] 同じ因子に属する項目で因子負荷量が負の項目が逆転項目。[3] A群(全正)とB群(逆転項目あり)の相関が打ち消し合う可能性を検討する。
[1]
まず、A群(不真面目な回答者)とB群(真面目な回答者)のデータが統計的にどう現れるかを考える。
1. スクリープロットの判別
- A群:ほとんど同じ回答カテゴリーばかり選ぶため、全項目間に非常に強い正の相関が生じる。その結果、第1主成分(第1因子)だけでデータの変動の大部分を説明できてしまい、固有値が第1因子に極端に集中する。 よって、スクリープロット1がA群である。
- B群: 5項目ずつ2つの因子を測定しているという本来の構造が反映されるため、固有値が1を超える因子が2つ現れる。よって、スクリープロット2がB群である。
2. 因子間相関の判別
- 問題文に「因子間には中程度の負の相関がある」と明記されている。
- 表2を見ると、因子間相関1は 0.86(正)、因子間相関2は -0.43(負)。
- 従って、負の相関を示している因子間相関2がB群の結果である。
3. 因子パターン行列の判別
- B群(本来の構造)では、項目1〜5が一方の因子に、項目6〜10がもう一方の因子に強く負荷すると考えられる。
- 因子パターン1を見ると、因子1には項目6〜10が、因子2には項目1〜5が綺麗に分かれて負荷している(符号の正負は逆転項目の有無による)。
- 一方、因子パターン2はA群特有の「全項目が第1因子に強く乗る」傾向を無理やり2因子に分けたような形になっている。
従って、B群の結果は「スクリープロット2、因子パターン1、因子間相関2」の ④ である。
[2]
B群の本来の構造を示す因子パターン1に注目して、各項目の「負荷の向き(符号)」を確認する。
- 因子2(項目1〜5):項目1, 4, 5は正の負荷(0.76, 0.88, 0.72)だが、項目2と3は負の負荷(-0.71, -0.73)となっている。つまり、2と3は逆転項目である。
- 因子1(項目6〜10):項目7, 8, 9, 10は正の負荷(\(0.78 \sim 0.81\))だが、項目6だけは負の負荷(-0.79)となっている。つまり、6は逆転項目である。
これらを合わせると、逆転項目は 2, 3, 6 となり、正解は ③ である。
[3]
A群とB群を合わせた(併合した)ときの項目間相関について考える。
- A群の性質
- 全ての項目を同じように回答するため、項目 \(i, j\) 間の相関 \(r_{ij(A)}\) は、逆転項目かどうかにかかわらず 1 に近い正の値になる。
- B群の性質
- 項目1と4:同じ因子の正の項目同士なので、相関 \(r_{14(B)}\) は正。
- 項目1と2:同じ因子だが、2が逆転項目なので、相関 \(r_{12(B)}\) は負。
各選択肢の検討
- ① A群は全員がほぼ同じ回答をするため、全てのペアで相関は正になる。誤り。
- ② B群において項目1と4はどちらも正の負荷なので、相関は正になる。誤り。
- ③ B群において項目1(因子2・正)と項目6(因子1・負)の相関を考える。因子の相関自体が負(-0.43)なので、負荷の符号を掛け合わせると \((+) \times (-) \times (-) = (+)\) となり、相関は正になる。誤り。
- ④ 上記の通り、項目1と2はB群で負、A群で正の相関を持つ。併合データの比率によっては正負が逆転する可能性がある。
- ⑤ 併合データでの比較:
- 項目1と4の相関:(B群:正) + (A群:強正) \(\rightarrow\) 強い正
- 項目1と2の相関:(B群:負) + (A群:強正) \(\rightarrow\) 弱正または負(打ち消し合う)
- 明らかに \(Cor(1, 4) > Cor(1, 2)\) が成り立つ。
従って、 正解は ⑤ である。
よくある質問
Q. スクリープロットでは何本目の因子まで採用すべきですか?
固有値が急激に落ちる「折れ目」の前までを採用する(スクリー基準)。カイザー基準(固有値≥1)と組み合わせて判断することが多く、2つの基準が一致する場合は信頼性が高い。
Q. 逆転項目を処理しないで因子分析するとどうなりますか?
逆転項目は他の項目と負の相関になるため、因子の向きが揃わず因子負荷量が混在する。事前にスコアを反転(5件法なら6から引く)してから分析するのが基本。
Q. 主成分分析と因子分析の違いを教えてください。
主成分分析は分散を最大化する合成変数を作る次元圧縮技術。因子分析は観測変数の相関を「潜在因子」で説明するモデルベースの手法で、独自因子(誤差)が含まれる点が大きな違い。



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