この問題のテーマ・前提知識
- テーマ: 独立性の検定(カイ二乗検定)・2×2分割表
- 前提知識: 期待度数 \(E_{ij} = n \times p_{i\cdot} \times p_{\cdot j}\) / カイ二乗統計量 \(\chi^2 = \sum \frac{(O-E)^2}{E}\) / カイ二乗分布の自由度 \((行数-1)(列数-1)\)
問題の概要
CMの視聴経験(影響あり・なし)と商品購入(あり・なし)のクロス集計表(300名分)が与えられる。[1] 帰無仮説「2変数に関連がない」のもとで特定セルの期待度数を求め、[2] カイ二乗統計量を算出し、[3] カイ二乗分布表を用いてp値の範囲を特定し、有意水準ごとの検定結論を導く。
解説
解法の方針:[1] 独立性の帰無仮説のもとで期待度数=全体×行周辺比率×列周辺比率を計算する。[2] 4セルすべてで \((観測値-期待値)^2 / 期待値\) を求め合計する。[3] 自由度1のカイ二乗分布表と比較してp値の範囲を確認し、有意水準5%・10%それぞれで帰無仮説を棄却するか判断する。
[1]
帰無仮説「CMの影響の有無と購入の有無に関連がない」の下で、「CMの影響あり」かつ「購入あり」のセルの期待度数を求める。
期待値は、全体の人数にそれぞれの周辺確率を掛けることで求められる。
\[300 \times \frac{135}{300} \times \frac{190}{300} = \frac{135 \times 190}{300} = 85.5\]
[2]
カイ二乗(\(\chi^2\))統計量は、すべてのセルについて「(観測値 - 期待値)\(^2\) / 期待値」を計算し、その和をとることで求められる。
\[\chi^2 = \frac{(93 – 85.5)^2}{85.5} + \frac{(42 – 49.5)^2}{49.5} + \frac{(97 – 104.5)^2}{104.5} + \frac{(68 – 60.5)^2}{60.5}\approx 3.262\dots\]
[3]
1. 自由度の確認
分割表のカイ二乗統計量の自由度は \((行数 – 1) \times (列数 – 1)\) であり、今回は \((2 – 1) \times (2 – 1) = 1\) となる。
2. カイ二乗分布表(付表)との比較
自由度 1 のカイ二乗分布において、統計量 3.26 に対応する上側確率(\(p\) 値)を確認する。
- 自由度 1、有意水準 10 % の境界値:2.706
- 自由度 1、有意水準 5 % の境界値:3.841
算出された 3.26 は、2.706 < 3.26 < 3.841 の範囲にある。
このことから、上側確率は 0.05 より大きく、0.10 未満である ことがわかる。
3. 結論
- \(p\) 値が 0.10 より小さいため、有意水準 10% では帰無仮説は棄却される。
- \(p\) 値が 0.05 より大きいため、有意水準 5% では帰無仮説は棄却されない。
よくある質問
Q. 期待度数の計算式はなぜ「全体×行周辺比率×列周辺比率」なのですか?
独立性の帰無仮説は「2変数が統計的に無関係」であることを仮定する。独立なら \(P(行 \cap 列) = P(行) \times P(列)\) が成り立つため、期待度数 \(= n \times P(行) \times P(列) = \frac{行合計 \times 列合計}{n}\) となる。
Q. 2×2分割表のカイ二乗統計量の自由度がなぜ1になるのですか?
自由度は \((行数-1)(列数-1)\) で求める。2×2表なら \((2-1)(2-1)=1\)。これは「周辺度数が固定されると、1つのセルの値が決まれば残り3セルが自動的に定まる」ことを反映している。
Q. p値が「0.05より大きく0.10未満」とわかるのはどうしてですか?
カイ二乗分布表には有意水準(上側確率)に対応する臨界値が記載されている。統計量が2つの臨界値の間(2.706〜3.841)に入るとき、p値もその有意水準の間(0.05〜0.10)にあると読み取れる。



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