この問題のテーマ・前提知識
- テーマ: 症例対照研究(ケース・コントロール研究)・オッズ比・相対リスクとの近似関係
- 前提知識: オッズ = 「ある事象が起こる確率」÷「起こらない確率」 / オッズ比 = 症例群のオッズ ÷ 対照群のオッズ / 稀な疾患仮定のもとでオッズ比 ≈ 相対リスク
問題の概要
喫煙と心筋梗塞の関連を検討するため、患者群と対照群に分けて喫煙経験の有無を調査した2×2分割表が与えられる。この調査デザインの名称を問うとともに、喫煙による心筋梗塞リスクの倍率を計算し、最も適切な記述を選ぶ問題である。
解説
解法の方針:[1] 結果(病気の有無)でグループを先に決め、過去の要因を遡って調べる研究デザインを特定する。[2] 患者群・対照群それぞれの喫煙オッズを計算し、オッズ比を求める。[3] 稀な疾患の仮定のもとでオッズ比と相対リスクの関係を確認し、正しい選択肢を選ぶ。
1. 調査手法
この調査は、先に「病気の有無」でグループ分けし、後から「過去の習慣(喫煙)」を調べている。
これを症例対照研究(ケース・コントロール研究)と呼ぶ。
2. 数値の計算(オッズ比)
この手法では、リスクの指標としてオッズ比を用いる。
- 患者群の喫煙オッズ:\(\frac{65}{21} \approx 3.10\)
- 対照群の喫煙オッズ:\(\frac{66}{192} \approx 0.344\)
- オッズ比:\(\frac{3.10}{0.344} \approx 9.0\)
3. 選択肢の確認
統計学には、「めったに起こらない病気(稀な疾患)の場合、オッズ比は相対リスク(罹患率の比)とほぼ一致する」という性質がある。
- 計算結果が「約 9 倍」で一致している。
- 「心筋梗塞の罹患率は小さい(稀である)」という前提に基づき、オッズ比を相対リスクとみなしている。
この2点を満たす①が最も適切である。
- ②: 対照群の人数比(3 倍)はリスクの倍率とは無関係。
- ③・④: 喫煙者合計(131 人)を分母にした計算は、症例対照研究では不適切。
- ⑤: オッズ比からリスクの推定は可能である。
よくある質問
Q. 症例対照研究では、なぜ罹患率(リスク)を直接計算できないのですか?
症例対照研究では、患者群と対照群の人数を研究者があらかじめ決めて集める。そのため、表の行合計は「実際の病気のなりやすさ」を反映しておらず、喫煙者の中で何割が心筋梗塞になるかを表の数字から計算することはできない。代わりにオッズ比を使う。
Q. オッズ比はどうやって計算しますか?
患者群の喫煙オッズ(喫煙あり÷喫煙なし)と対照群の喫煙オッズを求め、その比をとる。2×2表で \(a, b, c, d\) と配置した場合、オッズ比 \(= \frac{ad}{bc}\) のクロス積の形で一度に計算することもできる。
Q. オッズ比が相対リスクと近似できるのはどんなときですか?
対象疾患の罹患率(背景人口での発症確率)が十分小さい(稀な疾患)とき、対照群のオッズが罹患率にほぼ等しくなるため、オッズ比 ≈ 相対リスクが成立する。罹患率が高い疾患では近似が崩れ、オッズ比は相対リスクよりも大きくなる傾向がある。



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