統計学

【統計検定準1級】2018年6月 選択問題及び部分記述問題 問7【解答例・解説】

この問題のテーマ・前提知識

 

 

問題の概要

3つの小問からなる。[1] ウォード法におけるクラスター間距離の定義として正しい選択肢を選ぶ。[2] アンケート5項目の回答データ(15名)に対して階層的クラスター分析を行ったデンドログラムから、3名の回答者A・B・Cの位置関係を読み取り、適切な記述を選ぶ。[3] 寿司ネタ5種の主成分分析結果(第1・第2主成分負荷量)を正しくプロットした散布図を選ぶ。

 

 

解説

解法の方針:[1] ウォード法の距離は「偏差平方和の増加量」として定義されることを確認する。[2] ユークリッド距離の2乗を計算して3名の近遠関係を把握し、デンドログラムの Height と位置から構造を読み取る。[3] 各ネタの第1・第2主成分負荷量の符号から象限を特定し、一致する図を選ぶ。

[1]

階層的クラスター分析のウォード法は、「クラスターを結合した際に、情報量の損失(データのばらつき)がなるべく小さくなるように結合していく」手法である。

このばらつきの指標として「偏差平方和」を用いる。クラスター間の距離は、「結合後のクラスター内の偏差平方和」から「結合前の2つのクラスター内の偏差平方和の和」を引いたもの(つまり偏差平方和の増加量)として定義される。

従って、正解は ④ である。

[2]

ステップ1:回答データから3名の距離(類似度)を計算する

表で与えられた (ア), (イ), (ウ) の回答データから、それぞれのユークリッド距離の2乗を計算する。

  • \(d^2(\text{ア}, \text{イ}) = (5-3)^2 + (3-4)^2 + (2-5)^2 + (5-3)^2 + (4-5)^2 = 19\)
  • \(d^2(\text{ア}, \text{ウ}) = (5-4)^2 + (3-5)^2 + (2-5)^2 + (5-4)^2 + (4-4)^2 = 15\)
  • \(d^2(\text{イ}, \text{ウ}) = (3-4)^2 + (4-5)^2 + (5-5)^2 + (3-4)^2 + (5-4)^2 = 4\)

ここから、(イ) と (ウ) は距離が非常に近く(好みが似ている)、(ア) は他の2人から遠く離れている(好みが特異である) ということがわかる。

ステップ2:デンドログラムからA, B, Cの位置関係を読み取る

問題のデンドログラムの下部(横軸)に並んでいるアルファベットは、15人の回答者(A〜O)の個人ラベルである。左から順に目を凝らすと「C, O, G, K, L, F, D, J, N, M, A, E, H, B, I」と並んでいることがわかる。

ここから A, B, C の構造的な位置関係を確認する。

  • A と B:どちらも図の右半分の大きなクラスターに属している。Height が6付近の段階で同じグループとして結合しており、全体の中で見れば相対的に距離が近いペアである。
  • C:図の左端にある、全く別の大きなクラスターに属している。A や B の属するグループと結合するのは、すべてのデータがまとまる一番最後の根元の部分(Height 12付近)である。つまり、A・Bからは最も遠く離れている。

従って、正解は ⑤ である。

[3]

主成分分析の結果をプロットしたグラフ(主成分負荷量マップ)を選ぶ問題である。これは表の数値を \(xy\) 座標(横軸:第1主成分、縦軸:第2主成分)として、どの象限に位置するかを確認するだけでよい。

  • まぐろ:(0.824, 0.450) ➡ 第1象限(右上)
  • サーモン:(-0.763, 0.580) ➡ 第2象限(左上)
  • うに・いくら:(-0.662, 0.703) ➡ 第2象限(左上)
  • 貝類:(0.878, 0.290) ➡ 第1象限(右上)
  • 白身:(0.906, 0.313) ➡ 第1象限(右上)

「サーモン」と「うに・いくら」の横軸(第1主成分)がマイナスであり、それ以外はすべてプラスである。

従って、正解は ④ である。

 

 

よくある質問

Q. ウォード法と他のクラスター結合法(最短距離法・最長距離法)はどう違いますか?

最短距離法はクラスター間の最も近い2点の距離、最長距離法は最も遠い2点の距離をクラスター間距離とする。ウォード法はこれらと異なり、「結合によって生じる偏差平方和の増加量」を距離の指標とするため、コンパクトで等サイズに近いクラスターが形成されやすい。準1級では各手法の特徴の違いとして頻出。

Q. デンドログラムの Height(縦軸)は何を表していますか?

Height はクラスターが結合された時点での「クラスター間距離」を表す。ウォード法なら偏差平方和の増加量、最短距離法なら最小ユークリッド距離などに対応する。Height が高い位置で結合しているほど「似ていないグループ同士が無理やり統合された」ことを意味するため、どの高さで切るかがクラスター数の決定基準になる。

Q. 主成分負荷量マップで象限を読み取る際の注意点は何ですか?

横軸が第1主成分、縦軸が第2主成分であることを確認し、各変数の負荷量の符号(プラス/マイナス)から象限を特定する。選択肢の図が全体的に似ている場合は、符号が異なる変数(今回はサーモンとうに・いくら)に着目して絞り込むと効率的。負荷量の大きさ(絶対値)は原点からの距離に対応する。

 

 

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