統計学

【統計検定準1級】2016年6月 選択問題及び部分記述問題 問2【解答例・解説】

この問題のテーマ・前提知識

  • テーマ: 離散確率分布の決定・分散の計算・最大値の確率
  • 前提知識: 確率の加法定理と全確率の条件(\(\sum p_i = 1\)) / 期待値・分散の公式 \(V(X) = E[X^2] – (E[X])^2\) / 独立な繰り返し試行における最大値の確率計算

 

 

問題の概要

1, 2, 3, 4 の目しか出ないサイコロを考える。対称条件(奇数の目どうし・偶数の目どうしが等確率)と期待値の条件が与えられており、2つの小問に答える。[1] この確率分布のもとでの分散を求める。[2] このサイコロを独立に2回振ったとき、出目の最大値が 3 となる確率を求める。

 

 

解説

解法の方針:まず与えられた対称条件と期待値条件から連立方程式を立て、確率分布を一意に決定する。[1] 決定した分布を用いて \(E[X^2]\) を計算し、分散の公式に代入する。[2] 最大値が 3 になるパターン(少なくとも一方が 3 で、もう一方が 3 以下)を場合分けして確率を合計する。

サイコロの目 1, 2, 3, 4 が出る確率を、それぞれ \(p_1, p_2, p_3, p_4\) とおく。

問題文の条件「\(P(X=1) = P(X=3)\)」「\(P(X=2) = P(X=4)\)」より、以下が成り立つ。

\[p_1 = p_3\]

\[p_2 = p_4\]

すべての確率の和は 1 であるため、次式が成り立つ。

\[p_1 + p_2 + p_3 + p_4 = 1\]

ここに先の条件を代入すると、

\[2p_1 + 2p_2 = 1 \quad \implies \quad p_1 + p_2 = \frac{1}{2} \quad \cdots \text{①}\]

次に、期待値 \(E[X] = \frac{8}{3}\) であるという条件を用いる。

\[E[X] = 1 \cdot p_1 + 2 \cdot p_2 + 3 \cdot p_3 + 4 \cdot p_4 = \frac{8}{3}\]

ここにも \(p_1=p_3, p_2=p_4\) を代入して整理する。

\[1 \cdot p_1 + 2 \cdot p_2 + 3 \cdot p_1 + 4 \cdot p_2 = \frac{8}{3}\]

\[4p_1 + 6p_2 = \frac{8}{3}\]

両辺を 2 で割ると、

\[2p_1 + 3p_2 = \frac{4}{3} \quad \cdots \text{②}\]

式①と式②を連立方程式として解く。式①より \(p_1 = \frac{1}{2} – p_2\) とし、式②に代入する。

\[2\left(\frac{1}{2} – p_2\right) + 3p_2 = \frac{4}{3}\]

\[1 – 2p_2 + 3p_2 = \frac{4}{3}\]

\[p_2 = \frac{1}{3}\]

これを式①に戻して \(p_1\) を求める。

\[p_1 = \frac{1}{2} – \frac{1}{3} = \frac{1}{6}\]

以上により、確率分布は次のように決定する。

  • \(P(X=1) = \frac{1}{6}\)
  • \(P(X=2) = \frac{1}{3} = \frac{2}{6}\)
  • \(P(X=3) = \frac{1}{6}\)
  • \(P(X=4) = \frac{1}{3} = \frac{2}{6}\)
[1]

\begin{eqnarray}
E[X^2] &=& 1^2 \cdot \frac{1}{6} + 2^2 \cdot \frac{2}{6} + 3^2 \cdot \frac{1}{6} + 4^2 \cdot \frac{2}{6} \\
&=& 1 \cdot \frac{1}{6} + 4 \cdot \frac{2}{6} + 9 \cdot \frac{1}{6} + 16 \cdot \frac{2}{6} \\
&=& \frac{1 + 8 + 9 + 32}{6} = \frac{50}{6} = \frac{25}{3} \\
\end{eqnarray}

\(E[X] = \frac{8}{3}\) であるから、分散の公式より、

\begin{eqnarray}
V(X) &=& \frac{25}{3} – \left(\frac{8}{3}\right)^2\\
&=& \frac{25}{3} – \frac{64}{9} \\
&=& \frac{75}{9} – \frac{64}{9} = \frac{11}{9} \\
\end{eqnarray}

[2]

\(Y=3\) となるのは、2 回の出目の最大値が 3 になる場合であり、以下のいずれかのパターンに該当するときである。(1回目の出目を \(X_1\)、2回目を \(X_2\) とする)

  • 両方とも 3 が出る:\((X_1, X_2) = (3, 3)\)
  • 片方が 3 で、もう片方が 1 または 2 が出る:\((X_1, X_2) = (3, 1), (3, 2), (1, 3), (2, 3)\)

これらの事象は互いに排反(同時には起こらない)であるため、それぞれの確率を求めて足し合わせる。

  • \((3, 3)\) の確率:\(\frac{1}{6} \times \frac{1}{6} = \frac{1}{36}\)
  • \((3, 1)\) の確率:\(\frac{1}{6} \times \frac{1}{6} = \frac{1}{36}\)
  • \((3, 2)\) の確率:\(\frac{1}{6} \times \frac{2}{6} = \frac{2}{36}\)
  • \((1, 3)\) の確率:\(\frac{1}{6} \times \frac{1}{6} = \frac{1}{36}\)
  • \((2, 3)\) の確率:\(\frac{2}{6} \times \frac{1}{6} = \frac{2}{36}\)

合計すると、

\[P(Y=3) = \frac{1}{36} + \frac{1}{36} + \frac{2}{36} + \frac{1}{36} + \frac{2}{36} = \frac{7}{36}\]

 

 

よくある質問

Q. 確率分布を決定するとき、なぜ連立方程式で一意に解けるのですか?

今回は「全確率の和 = 1」「対称条件」「期待値条件」の3つの制約により、独立な未知数が \(p_1, p_2\) の2つに絞られ、式①・②の2元連立方程式が立てられる。制約の数と未知数の数が一致しているため、解が一意に定まる。

Q. 最大値の確率を求めるとき、なぜ「最大値が 3 以下」から「最大値が 2 以下」を引かないのですか?

引き算による補集合アプローチ(\(P(Y \le 3) – P(Y \le 2)\))も正しい方法で、同じ答えが得られる。今回は該当する組み合わせが少ないため直接列挙したが、最大値のパターンが多い場合は補集合を使う方が計算が楽になることがある。

Q. 分散の公式 \(V(X) = E[X^2] – (E[X])^2\) はなぜ成り立つのですか?

定義 \(V(X) = E[(X – \mu)^2]\) を展開すると \(E[X^2] – 2\mu E[X] + \mu^2 = E[X^2] – \mu^2\) となる(ここで \(\mu = E[X]\))。この変形により、二乗の期待値と期待値の二乗の差として計算できる。直接定義を使うより計算が楽になるため、試験では必ずこの形を使う。

 

 

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