統計学

【統計検定準1級】2016年6月 選択問題及び部分記述問題 問3【解答例・解説】

この問題のテーマ・前提知識

  • テーマ: カイ二乗適合度検定(期待度数の計算・検定統計量・棄却判定)
  • 前提知識: \(\chi^2\) 統計量の定義 \(\sum(O_i – E_i)^2 / E_i\) / 適合度検定の自由度(カテゴリ数 \(-1\))/ カイ二乗分布表の読み方

 

 

問題の概要

2つの小問からなる。[1] 曜日ごとの問い合わせ回数(合計42回)について、どの曜日も均等に来るという帰無仮説のもとで \(\chi^2\) 統計量を計算する。[2] 得られた統計量を有意水準5%のカイ二乗分布の棄却限界値と比較し、帰無仮説を棄却するかどうかを判定する。

 

 

解説

解法の方針:[1] 合計回数をカテゴリ数(7曜日)で割って期待度数を求め、各曜日の \((O_i – E)^2 / E\) を合計して \(\chi^2\) 統計量を計算する。[2] 自由度 \(= 7 – 1 = 6\) のカイ二乗分布表から有意水準5%の棄却限界値を読み取り、統計量と比較して判定する。

[1]

1. 期待度数の計算

1週間の合計問い合わせ回数は 42 回であり、曜日は 7 日間ある。どの曜日も均等に問い合わせが来ると仮定すると、1日あたりの期待度数 \(E\) は以下のようになる。

\[E = \frac{42}{7} = 6\]

つまり、帰無仮説のもとでは毎日 6 回ずつ問い合わせが来ると期待される。

2. \(\chi^2\)統計量の計算

\(\chi^2\)統計量は、実際の観測度数 \(O_i\) と期待度数 \(E\) のズレの大きさを表す指標であり、以下の式で定義される。

\[\chi^2 = \sum \frac{(O_i – E)^2}{E}\]

表の値を用いて、各曜日のズレを計算して足し合わせる。

  • : \(\frac{(6 – 6)^2}{6} = 0\)
  • : \(\frac{(4 – 6)^2}{6} = \frac{(-2)^2}{6} = \frac{4}{6}\)
  • : \(\frac{(5 – 6)^2}{6} = \frac{(-1)^2}{6} = \frac{1}{6}\)
  • : \(\frac{(3 – 6)^2}{6} = \frac{(-3)^2}{6} = \frac{9}{6}\)
  • : \(\frac{(6 – 6)^2}{6} = 0\)
  • : \(\frac{(8 – 6)^2}{6} = \frac{2^2}{6} = \frac{4}{6}\)
  • : \(\frac{(10 – 6)^2}{6} = \frac{4^2}{6} = \frac{16}{6}\)

これらを合計して \(\chi^2\) 統計量を求める。

\[\chi^2 = 0 + \frac{4}{6} + \frac{1}{6} + \frac{9}{6} + 0 + \frac{4}{6} + \frac{16}{6} = \frac{34}{6} = \frac{17}{3} \approx 5.67\]

[2]

1. 自由度の決定

適合度検定における自由度は、「カテゴリーの数 \(-\) 1」で求められる。今回は曜日が 7 つあるため、自由度は以下のようになる。

\[\text{自由度} = 7 – 1 = 6\]

2. 棄却限界値の読み取り

問題文より、有意水準は 5 %である。

自由度 6、有意水準 0.05 のカイ二乗分布表の値を読み取ると、棄却限界値は 12.59 (一般的な統計表における \(\chi^2_{0.05}(6)\) の値)となる。

計算した \(\chi^2\) 統計量と棄却限界値を比較する。

\[5.67 < 12.59\]

計算した統計量は棄却限界値よりも小さく、棄却域に入らない。

従って、帰無仮説「曜日によって問い合わせの回数が異ならない」は棄却されない

 

 

よくある質問

Q. 適合度検定の自由度はどう決まりますか?

カテゴリー数を \(k\) とすると、自由度は \(k – 1\) になる。今回は曜日が7種類なので \(7 – 1 = 6\)。「1を引く」理由は、合計が固定されているため期待度数が独立に決められる値が \(k-1\) 個しかないから。

Q. \(\chi^2\) 統計量はなぜ \((O_i – E_i)^2 / E_i\) という形をとるのですか?

\(E_i\) で割ることで、期待度数の大きさに応じたズレの相対的な大きさを評価している。期待度数が大きいカテゴリでは少々の差は誤差の範囲とみなし、小さいカテゴリでは同じ差でも証拠として重く扱う仕組みになっている。

Q. 帰無仮説が棄却されなかった場合、「曜日によって回数は等しい」と結論してよいですか?

そうは結論できない。帰無仮説を棄却しないことは「差があるという証拠が得られなかった」という意味であり、差がないことを証明したわけではない。サンプルサイズが小さいために検出力が低かった可能性もある。

 

 

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