統計学

【統計検定準1級】2017年6月 選択問題及び部分記述問題 問7【解答例・解説】

この問題のテーマ・前提知識

  • テーマ: 一元配置分散分析と二元配置分散分析(ブロック因子の有無による残差分散・検出力の変化)
  • 前提知識: 分散分析の平方和の分解(全体=処理+残差、ないしブロック+処理+残差)/ 残差分散と \(F\) 値の関係 / ブロック効果の除去による検出力への影響

 

 

問題の概要

実験条件 \(A\)(処理因子)と実験日 \(R\)(ブロック因子)を持つ実験データを、一元配置分散分析と二元配置分散分析のどちらで解析すべきかを問う選択問題。残差平方和・残差分散・\(F\) 値・検出力の違いについて正しく述べた選択肢を選ぶ。

 

 

解説

解法の方針:一元配置と二元配置では残差平方和の構成が変わる点を軸に、各選択肢の記述が正しいかを判断する。ブロック因子(実験日 \(R\))の平方和を残差から分離できるかどうかがポイント。

①・② 誤り
1元配置と2元配置では、上述の通り残差平方和の構成が変わるため、残差分散の大きさは異なる。それに伴い、検定統計量である \(F\) 値も変わるため、「どちらの解析法でもよい」とは言えない。

③ 誤り
実験条件 \(A\) の平方和 \(S_A\) の大きさは、データの各水準の平均値から計算されるため、1 元配置で計算しても 2 元配置で計算しても変わらない。変わるのは「残差平方和」である。

④ 誤り
1 元配置分散分析にすると、残差の自由度は確かに大きくなる。しかし、実験日の影響が大きい場合、それ以上に残差平方和 \(S_{E1}\) が膨張してしまうため、結果として残差分散が大きくなり、効果の検出力は低くなる。

⑤ 正しい
2 元配置分散分析を行うことで、全体のバラツキから「実験日 \(R\) の影響(ブロック効果)」を分離できる。これにより、実験日の影響を含まない純粋な(より小さな)残差分散を用いて \(F\) 値を計算できるため、実験条件 \(A\) の効果が検出しやすくなる。

 

 

よくある質問

Q. 一元配置と二元配置で \(S_A\)(処理平方和)が変わらないのはなぜですか?

処理平方和 \(S_A\) は各処理水準の平均値と全体平均の差から求められる。この計算にブロック因子の情報は介在しないため、一元配置でも二元配置でも \(S_A\) の値は同じになる。変わるのはあくまで「残差平方和」の部分だけ。

Q. 一元配置にすると残差の自由度が増えるのに、なぜ検出力が下がるのですか?

残差分散=残差平方和÷残差自由度で決まる。二元配置ではブロック平方和 \(S_R\) を残差から切り離すため残差平方和が小さくなる。ブロック効果が大きいと、一元配置で自由度が増えても残差平方和の膨張がそれを上回り、残差分散はむしろ大きくなって \(F\) 値が小さくなる(検出力低下)。

Q. ブロック因子(実験日)は交互作用を考慮しなくてよいのですか?

標準的な乱塊法(ランダム化ブロック計画)では処理×ブロックの交互作用は存在しないと仮定し、交互作用を残差に含める設計が多い。準1級の問題もこの前提で解くのが基本。交互作用が疑われる場合は繰り返しのある二元配置を検討する。

 

 

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