解説
[1]
1. 用いるべき分布の確認
正規分布に従う母集団から抽出された標本において、標本平均からの偏差平方和を \(T^2\)、標本サイズを \(n\)、母分散を \(\sigma^2\) とすると、統計量 \(\frac{T^2}{\sigma^2}\) は自由度 \(n-1\) のカイ二乗分布 \(\chi^2(n-1)\) に従うことが知られている。
新製品Bの標本サイズは \(n=16\)、偏差平方和は \(T_B^2 = 90\) である。
\[\frac{T_B^2}{\sigma_B^2} = \frac{90}{\sigma_B^2} \sim \chi^2(15)\]
2. 信頼区間の導出
自由度15のカイ二乗分布における上側 2.5 %点を \(\chi^2_{0.025}(15)\)、上側 97.5 %点を \(\chi^2_{0.975}(15)\) とすると、95 %信頼区間は、
\[\chi^2_{0.975}(15) \leq \frac{90}{\sigma_B^2} \leq \chi^2_{0.025}(15)\]
ここで、統計数値表(カイ二乗分布表)より、それぞれのパーセント点はおよそ以下の値となる。
- \(\chi^2_{0.975}(15) \approx 6.262\)
- \(\chi^2_{0.025}(15) \approx 27.488\)
これを不等式に代入する。
\[6.262 \leq \frac{90}{\sigma_B^2} \leq 27.488\]
\[\frac{1}{27.488} \leq \frac{\sigma_B^2}{90} \leq \frac{1}{6.262}\]
\[\frac{90}{27.488} \leq \sigma_B^2 \leq \frac{90}{6.262}\]
\[3.274… \leq \sigma_B^2 \leq 14.372…\]
従って、求める95%信頼区間は [3.27, 14.38] となり、正解は ② である。
[2]
1. 空欄(ア)について:検定統計量と自由度
既製品Aと新製品Bの母分散が等しいという帰無仮説 \(H_0: \sigma_A^2 = \sigma_B^2\) のもとで、2つの標本の不偏分散の比はF分布に従う。
標本サイズがそれぞれ \(n_A = 16, n_B = 16\) であるから、それぞれの不偏分散は \(U_A^2 = \frac{T_A^2}{15}\)、\(U_B^2 = \frac{T_B^2}{15}\) となる。
問題文で与えられている検定統計量 \(F\) は、これら不偏分散の比として定義されている。
\[F = \frac{U_A^2}{U_B^2} = \frac{\frac{T_A^2}{15}}{\frac{T_B^2}{15}} = \frac{T_A^2}{T_B^2}\]
この検定統計量 \(F\) は、帰無仮説が正しい場合、自由度 \((n_A-1, n_B-1)\)、すなわち 自由度 (15, 15) のF分布に従う。
よって、空欄(ア)には 15 が入る。
2. 空欄(イ)について:検定結果の判定
実際の測定値から計算された検定統計量は以下の通りである。
\[F = \frac{T_A^2}{T_B^2} = \frac{180}{90} = 2.0\]
次に、有意水準 5 %の片側検定を行うため、自由度 \((15, 15)\) のF分布における上側 5 %点 \(F_{0.05}(15, 15)\) を確認する。一般的なF分布表を引くと、その値は以下の通りである。
\[F_{0.05}(15, 15) \approx 2.40\]
得られた検定統計量の値 \(F = 2.0\) は、棄却限界値である 2.40 より小さい。
\[F = 2.0 < 2.40\]
これは、計算された \(F\) 値が上側 5 %の棄却域に入っていないことを意味する。
従って、帰無仮説 \(H_0\) は 棄却できない。
よって、空欄(イ)には できない。
以上より、正解は ① である。


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